Zen へようこそ
概要
以下のセクションでは、Zen データベース製品の概要を説明します。
Zen の概要
Zen は信頼性に優れ、メンテナンスの必要が少なく、高度なパフォーマンスを提供するデータベース管理システム(DBMS)です。世界中の多くの企業が Zen のライセンスを取得し、データ集約ソフトウェア製品の基本的なデータ ストレージ プログラムとして配布しています。これらの企業には、Zen を使用することで得られる簡易性、信頼性および価値によって、独自の DBMS を構築することもなく、また競合製品のライセンスを取得する必要もないことをご理解いただいています。
Zen を他製品の付属として入手されたか、あるいは単独で購入されたかに関わらず、このセクションでは本製品の簡単な説明とその利点について述べます。
本製品の利点
Zen では、同様の他製品に比べ多くの利点を備えています。ここでは、その一部を説明します。
•最低の総所有コスト(TCO)。Aberdeen Group 社が実施した独自の調査で、Zen の安価な TCO に匹敵する主要なデータベース製品はほかにないとの結果がでました。なぜ最低の TCO が可能なのか?この理由については、次の項をお読みください。
•データベース管理者(DBA)が不要。この業界の求人広告では Oracle、Sybase、あるいは SQL Server のデータベース管理者に高額な給与を提示しているのを頻繁に見かけます。Zen では独自の Zero Database Administrator(Z-DBA™)アーキテクチャを提供します。使いやすいツール、安全なインストールおよび単純な操作性により、デスクトップ、ワークグループおよび各部門のアプリケーションの完全な運用を達成します。
•デスクトップから Web までの拡張性。Zen には 2 種類のエディションがあります。Ultra-light™(超軽量)Workgroup データベース エンジンは、シングル ユーザー設定から小規模のワークグループ設定までをサポートします。Enterprise Server エンジンには 6 ユーザー ライセンスが付属しており、イントラネットおよびエクストラネット アプリケーションを含む、数百の同時ユーザーにまで拡張できます。データベース エンジンをアップグレードする場合、サポートされるアプリケーションへの変更は必要なく、新しいデータベース エンジンに入れ替えるだけで済みます。
•クロス プラットフォームのサポート。ほかの製品とは異なり、Zen の使用は単一プラットフォームに留まりません。Zen データベースはバイナリ互換で、Microsoft Windows および Linux ベースのいくつかのプラットフォームでサポートされます。
•低価格で多機能なデータベース。Zen では、ほかの高価な DBMS 製品に見られるような、完全なセキュリティ、暗号化、管理および監視ツール、その他多数の機能を提供します。
•実績のある安定性と信頼性。米国の Windows デスクトップ会計ソフトウェア市場で、データベースの第一選択として Zen が使用されていることは紛れもない事実です。重要なデータを管理する状況において、このデータベースはその期待を裏切りません。
•複数のアクセス方法。アプリケーション ベンダーは、大量のデータ操作でのパフォーマンスを著しく向上させる Btrieve API を使用することができます。また一方で、データのレポート作成、セキュリティ、分析および標準互換に対応する ODBC、純粋な Java および JDBC インターフェイスの豊富なアクセス方法を提供します。これらのアクセス方法をすべて提供しているデータベース管理システムはほかにありません。
トランザクショナル アクセス(直接データ アクセス)またはリレーショナル アクセス
Zen では、データベース管理市場において完全に独自のアーキテクチャを提供します。本製品では、MicroKernel エンジンおよびリレーショナル エンジンから、同じデータにアクセスすることができます。
トランザクショナル データベース エンジンである MicroKernel エンジンでは、データを直接処理し、データへのアクセスに固定のスキーマを必要としません。データの格納およびアクセスには Key-Value 連想配列を使用します。MicroKernel エンジンの呼び出しはクエリ言語を使用するのではなく Btrieve API を使ったプログラムで行われるため、Zen がリクエストを解析する必要はありません。これにより、MicroKernel エンジンは SQL を使用しない NoSQL データベースに分類されます。低レベルの API 呼び出しとデータのメモリ キャッシュによってデータ操作に要する時間が短縮されます。
Zen MicroKernel エンジンを参照してください。
2 つ目のデータベース エンジンであるリレーショナル エンジンは、ほかのリレーショナル データベース エンジンと同様の方法、つまり、SQL クエリのサポートによって動作します。リレーショナル エンジンは SQL クエリを解析し、それを MicroKernel エンジンへ送信して実行します。
Zen リレーショナル エンジンを参照してください。
Zen MicroKernel エンジン
Zen の MicroKernel エンジンは、インストールの単純化、メンテナンスの簡素化、さらに高いパフォーマンスと信頼性を提供します。Zen は、トランザクショナル アプリケーションを実行したりリレーショナル データベース システムに移行したりするための基盤となります。
利点
Zen MicroKernel エンジン と その Btrieve API は、25 年以上もの間、世界中の何万ものアプリケーションに使用されているデータ管理システムです。競争の激しい会計ソフトウェア市場では、信頼性と高いパフォーマンスが要求されますが、上位を占めるベンダーの多くが Zen を選択しています。アプリケーション開発業者の多くが、スピード、データの整合性、スケーラビリティ、メンテナンス費用の低さなどを理由に、Zen を選択しています。
•速度。MicroKernel エンジンは数百人のユーザーが使用する数ギガバイトのデータベースを構築する場合でも、瞬時の応答が可能です。このエンジンは、ファイル サイズが大きくなっても、データの高速な取り出しと更新のためにページをキャッシュする内部インデックス アルゴリズムや、高速のデータ アクセスを保つ自動インデックス バランスなどの機能を利用して、このような高速度を実現します。
•データの整合性。MicroKernel エンジンは豊富なトランザクション処理のサポート、参照整合性の制御、ファイルの自動修復などにより、データの整合性を保証しています。サーバーやシステムの障害発生時には、ログ機能とロール フォワード機能により、最後に完了したトランザクションの時点までデータを修復します。
•スケーラビリティ。数多くのクライアント/サーバー データベース アプリケーションがデスクトップ ソフトウェアとして誕生し、会社の成長とともに拡張されていきました。Zen は、ワークステーションから大規模なクライアント/サーバー環境まで、柔軟なスケーラビリティを備えています。
•低コスト。Zen 開発者が実感するサポート コストの低さは、Zen アプリケーションのエンド ユーザーにとってもメンテナンス コストが低いことを意味します。Zen のデータの自動修復機能や、使いやすいユーティリティによって、継続的なデータベース管理が不要になります。
機能
MicroKernel エンジンは次のような多数の機能を提供します。
•データを直接やり取りし、データへのアクセスに固定のデータ スキーマを必要としない。データの格納およびアクセスには Key-Value システムを使用します。
•エンジンの呼び出しはクエリ言語を使用するのではなく Btrieve API を使ったプログラムで行われるため、Zen がリクエストを解析する必要がない。
•低レベルの API 呼び出しとデータのメモリ キャッシュによってデータ操作に要する時間が短縮される。
•複数のエンジンに分散しているデータベースヘアクセスする。
•シングルサーバー システムと分散型のマルチサーバー システムの両方に、信頼性の高いトランザクションを保証する。
•このエンジンは完全なデータベース トランザクションで作動し、ACID(Atomicity:原子性、Consistency:一貫性、Isolation:独立性、Durability:耐久性)が完全に保証される。
•レコードはリレーショナル データベース エンジンのテーブルとほぼ同じファイルに格納される。1 件のレコードに対して複数のキーをサポートするので、ファイルに複数のインデックスを持つことができます。
Zen リレーショナル エンジン
Zen のリレーショナル エンジンは、インストールの単純化、メンテナンスの簡素化、さらに高いパフォーマンスと信頼性を提供します。
利点
リレーショナル データベース アプリケーション開発者の多くが、スケーラビリティ、メンテナンス不要の操作、少ないメモリ容量などの理由から Zen を選択しています。
•標準インターフェイス。SQL および ODBC による、有用なアプリケーションを構築するための標準化された基盤を提供します。
•速度。Zen はデータベース エンジンへの ODBC 直接アクセスを提供します。競合製品の多くは、変換レイヤーを使用して ODBC 呼び出しを独自の「ネイティブ」リレーショナル API 呼び出しに変換してからデータベース エンジンにアクセスします。これに対し、Zen ODBC ドライバーはデータベース エンジンを直接呼び出すため、ODBC 呼び出しを独自のリレーショナル API に変換する必要がありません。
•スケーラビリティ。Zen では、シングルユーザーからクライアント/サーバー環境にいたるまで、アプリケーションやデータベースを変更せずにアプリケーションを拡張することが可能です。
•運用にメンテナンスが不要。Zen はすぐにインストールして使用することができます。データベース管理者による大規模なセットアップやパフォーマンスの継続的なチューニングは必要ありません。
•最小メモリ フットプリント。Zen のフットプリントは小さく、少量のメモリしか必要としません。
機能
リレーショナル エンジン が持つ柔軟なアーキテクチャにより、開発するデータベース アプリケーションを追加のコーディングなしでシングル ユーザー環境から大規模なクライアント/サーバー システムにまで簡単に拡張することができます。Zen により、インストールおよび管理が容易になり、高いパフォーマンスおよび信頼性が実現するとともに、データを円滑に移行できるようになります。また、マルチ ユーザーとシングル ユーザーのランタイム サポートを提供する Zen の配布コンポーネントを使えば、Zen とアプリケーションのバンドルも容易に実現します。
•スタンドアロンからクライアント/サーバーにいたるアプリケーションのスケーラビリティ
•フル機能の Workgroup エンジンとクライアント/サーバー エンジン
•宣言型の参照整合性
•双方向型、更新可能、スクロール可能なカーソル
•アプリケーションの場所の透過性を提供する名前付きデータベースのサポート
•業界標準のデータ型の包括的なサポート
•トリガーやストアド プロシージャなどのプログラミングの拡張機能
•統計分析と高度なフェッチ アルゴリズムから打ち出されたコスト優先の最適化
•フル トランザクショナル ログなどのトランザクション処理機能の強化
•ODBC や ADO.NET サポートなどの標準機能の強化
•その他、Windows ユーティリティの追加、大容量ファイルのサポート(最大 256 ギガバイト)、および TIMESTAMP、UNSIGNED、CURRENCY などデータ型変数の追加機能
Zen データベースの種類について
このトピックでは、Zen の Enterprise Server、Cloud Server、および Workgroup の各エディションについて基本的な情報を提供します。Zen のアーキテクチャについては、『
Advanced Operations Guide』の
Zen コンポーネントのアーキテクチャを参照してください。
Zen Enterprise Server と Cloud Server
この Zen Enterprise Server と Cloud Server は、要件を満たすハードウェアにインストールした場合、多数の同時ネットワーク ユーザーをサポートするよう設計されています。信頼性やパフォーマンスが重要な Web、企業、部門およびその他のクライアント/サーバーや Web ベースのアプリケーションをサポートする機能があります。
Zen の Enterprise Server と Cloud Server の違いとして、Cloud Server はサービス管理、SaaS(サービスとしてのソフトウェア)、またはその他の多重環境に対応して容量ベース ライセンスをサポートする一方、Enterprise Server はエンド ユーザーのクライアント/サーバー アプリケーションに対応するライセンスをサポートすることです。ライブ マイグレーション、フェールオーバー、フォールト トレランス(FT)、高可用性(HA)および障害回復などのハイパーバイザー機能と一緒に使用するためにライセンスを追加する必要もありません。
Zen Workgroup
Zen Workgroup はシングル ユーザーや小規模のワークグループへのインストールをサポートするように設計されています。
Zen Workgroup は Zen Enterprise Server と同じレベルの信頼性や機能を備えています。中規模、大規模環境におけるネットワーク化およびパフォーマンスに違いがあるだけです。
Zen Workgroup では、小規模のネットワークにおけるさまざまな設定によりリモート サーバー上のデータへのアクセスを柔軟に行うことができます。データベース エンジンがないリモート ファイル システム上にデータ ファイルがある場合、Zen Workgroup を構成することによって、特定のエンジンを常にリモート データのアクセスに使用するよう設定することができます。あるいはそのデータ ファイルに最初にアクセスするエンジンがデータへのリクエストがなくなるまでそれらのファイルのサーバーとして機能するよう設定することもできます。この場合、リクエストの終了後にそのファイルにアクセスした次のエンジンが、リクエストが来るまでそのファイルを所有します。
1 つの Zen ライセンスを複数のマシンにインストールすることはできません。ユーザー カウント ライセンスとは、Zen エンジンをインストールできるマシンの台数ではなく、そのエンジンへ接続可能なクライアント数を指します。Workgroup 環境では、Zen データにアクセスするすべてのマシンにそれぞれ Workgroup エンジンをインストールする必要があります。
Server Edition と Workgroup Edition の比較
次の表に、Server Edition と Workgroup Edition の違いを示します。
機能 | Server | Workgroup |
---|
さまざまなアクセス方法のサポート( Zen SDK を参照してください) | X | X |
リレーショナル機能の完全なサポート(オンライン バックアップ、セキュリティ、参照整合性、管理ツールなど) | X | X |
すべてのプラットフォームおよびエンジンのバージョンにわたるバイナリ互換データ ファイル | X | X |
簡単なプラグ アンド プレイ アップグレード、エンジンの変更によるアプリケーション変更の必要なし | X | X |
オンライン ドキュメントの付属 | X | X |
データベース エンジンがインストールされていないファイル サーバー上のデータ アクセス | | X |
リモート ODBC クライアント接続のサポート | X | X |
リモート データにアクセスする可能性のあるすべてのコンピューター上での Workgroup エンジンの必要性 | 適用外 | X |
Windows 上でのエンジンの起動 | X | X |
Linux、macOS および Raspbian 上でのエンジンの起動 | X | |
小規模なグループ用のマルチユーザー | X | X |
数千ユーザーへの拡張 | X | |
エクストラネット ライセンスの使用 | X | |
オペレーティング システムのセキュリティの実行 | X | |
Client Reporting Engine のサポート | X | X |
Zen SDK
Zen SDK には、アプリケーション開発を容易にする多くの機能が備わっています。
•低レベル API。Btrieve API を直接プログラミングすることにより、最速のデータ アクセスが可能になり、作成するアプリケーションがデータを読み書きする方法を最適に制御できます。これらの考慮事項が重要であり、ご自分のビジネス ルールを組み込んでコードを開発するつもりである場合は、API の直接プログラミングが非常に役立ちます。データにリレーショナル アクセスする場合は、Microsoft ODBC API に直接コーディングすることも可能です。
•ODBC。Zen ではネイティブな ODBC ドライバーを提供します。
• ADO.NET データ プロバイダー。この Zen エディションのデータ プロバイダーは Microsoft .NET Framewor のサポートを提供するもので、マネージ コードのみで構築されている ADO.NET 管理データ プロバイダーです。
•Java。Java インターフェイスにより、プラットフォームに依存しないオブジェクト指向の方法で Btrieve アプリケーションを開発することができます。Java インターフェイスは、真のヌル値と Unicode 値のほか、BLOB(Binary Large Object)もサポートしています。
•DTI/DTO(Distributed Tuning Interface/Distributed Tuning Objects)。これら 2 つの関連したインターフェイスを使用すれば、アプリケーションからデータベース エンジン自体を、設定パラメーターやセキュリティ部分も含め、調整および管理することができます。
•包括的なサンプル アプリケーション。Zen SDK には、レンタル ビデオ店を経営するという目的に沿って設計された包括的なサンプル アプリケーションも用意されています。Visual Basic、Delphi、Java、および C/C++ で記述された包括的なサンプル コードが付属しています。ODBC、サード パーティ製コントロール、API の直接呼び出しを使用する例が示されています。
•弊社 Web サイトから、最新の Zen コンポーネントのダウンロードやコード サンプル、ドキュメント、テクニカル サポートを入手できます。
開発環境
Zen のオープン インターフェイスによって、さまざまなフロントエンド アプリケーションの開発が可能になります。このようなアプリケーションはすべて、共通、トランザクショナル、またはリレーショナル データベースを共有できます。一般的なプログラミング言語や環境である Java、Delphi、BASIC、Visual BASIC、.NET、C、C++、COBOL、Pascal、ODBC、PowerBuilder(ODBC を使用)、および FoxPro(ODBC を使用)を使うことができます。また、ソフトウェア ライセンスを使って、作成するアプリケーションに Zen エンジンをバンドルすることもできます。