Continuous オペレーションは PSQL に含まれる MicroKernel の機能です。ファイルをテンポラリ状態にして、データベース ファイルが開いていて使用中でもデータ ファイルのバックアップができるようにする機能を提供します。

バックアップ中、開いているデータ ファイルは通常、バックアップから除外されます。これは、ファイルが開いていて使用中であるためです。Continuous オペレーションを有効にすると、オペレーションが MicroKernel を呼び出して、選択されたファイルを読み取り専用で開きます。これにより、バックアップ ユーティリティでは選択したファイルの静的イメージにアクセスしてバックアップを行うことが可能になります。データ ファイルが読み取り専用で開いたら、MicroKernel はそのファイルに対して行われたあらゆる変更をテンポラリ デルタ ファイルに記録します。これらのテンポラリ デルタ ファイルは、バックアップ処理中に生じた変更を完全網羅して、実行中のファイルのバージョンを保持します。

Continuous オペレーション モードによって作成されたテンポラリ デルタ ファイルは対応するデータ ファイルと同じ名前ですが、拡張子 ".^^^" を使用します。同じディレクトリに、ファイル名が同一で拡張子のみが異なるようなファイルを置かないでください。たとえば、データ ファイルに INVOICE.HDR および INVOICE.DET というような名前の付け方をしないでください。

同じ名前のファイルが複数ある場合は、1 つのファイルだけが Continuous オペレーション モードに置かれます。Continuous オペレーションから除外されたファイルについては、Backup Agent ログ ファイルに詳述されます。すべてのファイルを Continuous オペレーション モードに置くつもりならば、ログ ファイルを調べてから、同じ名前のファイルをそれぞれ別のディレクトリに配置するか、あるいはファイルの名前を変更することを検討し、Backup Agent が目的どおり動作できるようにしてください。

バックアップが完了した後、Continuous オペレーション モードからデータ ファイルを削除する必要があります。その時点で、デルタ ファイルに格納されている変更内容がデータ ファイルにロール インされます。MicroKernel はすべての変更をデータ ファイルにロール インすると、直ちにデルタ ファイルを削除します。

Continuous オペレーション モードの開始は、アクセス中のファイルの種類によって、PSQL の BUTIL または Maintenance ユーティリティを使用して操作します。Maintenance ユーティリティは BUTIL の対話型バージョンで、ファイル パスを要求します。

Continuous オペレーション モードの終了も、アクセス中のファイルの種類によって、PSQL の BUTIL または Maintenance ユーティリティを使用して操作します。Continuous オペレーションの開始に使用したユーティリティと同じユーティリティを使用して Continuous オペレーションを終了します。

『PSQL Advanced Operations Guide』には、PSQL で提供される Continuous オペレーションについての詳細な情報が記載されています。

PSQL データベースをバックアップするための Continuous オペレーションを開始および終了するユーティリティが既にあっても、Backup Agent を使用するのはなぜでしょうか。それは、Backup Agent が Continuous オペレーションをさらに一歩進んだものとするからです。Backup Agent は「インテリジェント Continuous オペレーション管理」という機能を実装します。

この「インテリジェント Continuous オペレーション管理」では、システム管理者がバックアップするファイルのリストを提供し管理しなくても、エージェントによって自動的にファイルが Continuous オペレーション モードに置かれます。このファイル管理により、現状にそぐわなくなることが多い butil -startbu スクリプトが必要でなくなります。また、バックアップ セッション中にユーザーによって開かれていないファイルを Continuous オペレーションに入れることもなくなります。Backup Agent は、実際にアクセスされていて、Continuous オペレーションに入れる必要のあるファイルのみを処理します。これによって、増分または差分バックアップの処理中にバックアップされるデータ量を大幅に減らすことができます。

Backup Agent を使用するもう 1 つの主な理由は、市販されているほぼすべての一般的なバックアップ ソフトウェア製品へ簡単に組み込めることです。

次のセクションでは、データ バックアップを取り巻く問題および Backup Agent を使用する場合にあらかじめ知っておくべき注意について説明します。

このセクションでは、Backup Agent を使用する前に知っておく必要がある注意や考慮点を挙げます。

PSQL でアーカイブ ロギングを既に有効にしている場合は、Backup Agent を使用する前に無効にしておく必要があります。アーカイブ ロギングが有効になっているかどうかがわからない場合は、PSQL Control Center の設定によって調べることができます。

MicroKernel はテンポラリ ファイルをロックします。その結果、Backup Agent はテンポラリ ファイルに対し Continuous オペレーションを適用することはできません。

ファイルが読み取り専用ディレクトリにあるという状況では、MicroKernel はデルタ ファイルを作成することができず、Backup Agent はファイルを Continuous オペレーションに入れることができません。

読み取り専用ファイルに書き込み操作でアクセスすることはできませんが、Backup Agent はこれらのファイルを Continuous オペレーションに入れることができます。読み取り専用ファイルには更新処理は行われないので、MicroKernel はデルタ ファイルを作成しません。MicroKernel はすべての書き込み操作に対しエラーを返すため、書き込み操作は実施されないのです。デルタ ファイルが作成されないため、Backup Agent が管理するものは何も残されません。

業務上、Backup Agent をリモート マシンから開始および停止するよう指示されている場合は、市販の一般的なリモート アクセス アプリケーションを使用してこれを行うことができます。たとえば、Telnet セッションを使用して Backup Agent を起動します。

BUTIL または Maintenance ユーティリティを使用して Continuous オペレーションを開始することはお勧めできません。別のユーティリティによって Continuous オペレーションにファイルが置かれた場合、Backup Agent はそのファイルを管理できません。その場合には、ファイルを Continuous オペレーションに入れたときと同じユーティリティを使って、Continuous オペレーションからファイルを抜き出すということを覚えておいてください。

潜在的なパフォーマンスの低下を避けるため、バックアップ処理は常に就業時間外やデータ アクセスの少ない時間帯にスケジュールするようにしてください。また、バックアップが完了したらエージェントを確実に停止することが重要です。Backup Agent の実行中、以下の状況がデータベース アプリケーションのパフォーマンスに影響を与えます。

Backup Agent を使用して Continuous オペレーションを適用したファイルがあり、サーバーが再起動された場合、変更をロール インする時間には 30 分の制限があります。タイムアウトの 30 分に到達すると、Backup Agent はタイムアウトに達したファイルをログに記録します。元のファイルに対してデータベース変更が行われた場合、まだアクティブになっているデルタ ファイルのサイズは増加し続けます。デルタ ファイルのサイズは、変更が元のファイルにロール インされるまで増加し続けます。この状況を排除するには、元のファイルを Function Executor または PSQL Control Center を使って開き、デルタ ファイルをロール インします。

Backup Agent を使用してバックアップしている最中にハード ドライブの故障が起こった場合は、アーカイブ ロギングや Maintenance ユーティリティのロール フォワード コマンドを使用しても、前回のバックアップ以降に生じたデルタ ファイルへの変更を復元することはできません。ハード ドライブが故障した場合は、前回のバックアップ以降にデータに加えられた変更はすべて失われます。

Backup Agent によってファイルが Continuous オペレーション モードにある間にサーバーが停止した場合、Backup Agent は次回サーバーが再起動されたときに既存のデルタ ファイルを検出し、変更をロール インします。

選択対象ファイル リスト（ifl.txt）にファイルを指定することにより、Backup Agent が Continuous オペレーションの対象とするファイルを指定することができます。反対に、除外対象ファイル リスト（efl.txt）を使用すれば、Continuous オペレーションの対象から除外するファイルを指定できます。

Backup Agent のインストールが正常に完了すると、選択対象ファイル（ifl.txt）および除外対象ファイル（efl.txt）は以下の場所に配置されます。

BUTIL または Maintenance ユーティリティを使用して、あるファイルを Continuous オペレーションに適用した場合は、そのファイルが efl.txt に挙げられているファイルであっても除外されません。

選択対象ファイル リスト（ifl.txt）のファイルは、セミコロンで区切って列記するか、各行に 1 ファイルずつ指定します。ファイルの選択にワイルドカード パターンを使用することもできます。ファイル名には絶対パス名を含んでいる必要があります。

除外対象ファイル リスト（efl.txt）のファイルは、セミコロンで区切って列記するか、各行に 1 ファイルずつ指定します。ファイルの除外にワイルドカード パターンを使用することもできます。

Backup Agent コマンド ライン インターフェイス（CLI）ユーティリティ（pvbackup.exe）は、Continuous オペレーション機能をお使いのバックアップ ソフトウェア アプリケーションに自動的に組み込む完璧なソリューションです。このユーティリティをバックアップ ソフトウェア アプリケーションと共に実装する方法を説明する前に、このユーティリティ自体の使用法を見てみましょう。

Backup Agent は、現在市場で数多く販売されている一般的なバックアップ ソフトウェアに簡単に組み込むことができます。バックアップ アプリケーションによっては、スケジュールされたバックアップの前に特定の操作やスクリプトを実行するように設定できるものがあります。この機能により、バックアップ完了後に特定の操作やスクリプトを実行するようソフトウェアに組み込む柔軟性も得られます。

たとえば、バックアップ アプリケーションによっては

事前または事後のコマンドを設定できるものがあります。したがって、事前コマンドを設定する場合は、お使いのバックアップ ソフトウェア固有の要件に応じて、以下のように入力することができます。

また、事後コマンドを指定してバックアップ完了後に実行することもできます。これはお使いのバックアップ ソフトウェアの要件に応じて、以下のようなコマンドになります。

お使いのバックアップ ソフトウェアによっては、絶対パス名を入力する必要がない場合もあります。お使いのバックアップ ソフトウェア固有の要件については、付属のユーザー マニュアルやオンライン ヘルプを参照してください。

Backup Agent のグラフィカル ユーザー インターフェイス（GUI）ユーティリティ（pvbackupgui.exe）は、バックアップ ファイルを管理するためのワンタッチ式ソリューションとして設計されています。このユーティリティのインターフェイスは使用が簡単なので、アドホックなバックアップ処理にすぐに取り掛かれます。

Backup Agent GUI には、オペレーティング システムの［スタート］メニューまたはスタート画面から、あるいは PSQL Control Center からアクセスできます。