はじめてのActian Zen「データヒストリアン」編・3/3(後編)
(中編からの続きです。)
RDBの特徴を兼ね備えたNoSQLデータベースの「Actian Zen」が、データヒストリアンに向いている“4つの理由”について紹介してきましたが、今回の後編では、更にその理由に踏み込むべく、「Actian Zen」の充実したセキュリティ機能や、エッジコンピューティングにおける生産性の高さを確認していきましょう。
※ 当サイトを初めてご覧になった方は、会社紹介のブログ記事からお読みください。
*目次*
- データヒストリアンとは?
- OTについて(ヒストリアンとOTの関係性)
- 時系列データベースとしてのActian Zen
- なぜ、Actian Zenはヒストリアンに向いているのか?
- まとめ「データヒストリアンとActian Zen」
なぜ、Actian Zenはヒストリアンに向いているのか?(中編からの続き)
データヒストリアンとは、あくまで概念のようなものであり、すでに市場にあるデータベース製品が、ヒストリアンに採用されるケースもよくあります。Actian Zenの場合、ヒストリアンとして利用することに向いているのでしょうか?その答えは「Yes」です。そう言い切ってしまえるのは、次の4つの理由を挙げることができるからです。
Actian Zenは・・・
1)NoSQLとRDB両方の特徴をもつ
2)レコードを挿入する性能が特に高い
3)セキュリティ機能が充実している
4)「無駄」を省くことに最適である
Actian Zenの長所とも言えるこれらの理由について、中編の続きとなる3つ目以降を詳しく説明していきます。
理由その3)Actian Zenは、セキュリティ機能が充実している
ヒストリアンが稼働するOT環境でのセキュリティ対策は、IT環境に比べてみると、まだまだ不十分なところもあります。これまでOT環境では、それぞれが独自の高価なシステムを構築してきましたが、オープン化に伴い、マルウェアなどによって攻撃を受けるリスクが増大しました。
たとえば、2010年にイランの核燃料施設に向けてサイバー攻撃を仕掛けたStuxnetが、OT環境の制御システムを標的とする初のマルウェアと言われています。Stuxnetによって、ウラン濃縮用遠心分離機を制御するPLC(※3)の設定ロジックが改ざんされ、最終的には施設の稼働が停止する事態となりました。
(※3)PLCとは「Programmable Logic Controller」を略したもので、設備内の機械を自動でコントロールするための装置のことです。
充実したセキュリティ機能がヒストリアンにとって重要となる
日本国内のOT環境は、外部(インターネット)との接続に制限がかかっていることが多いため、上記の例のように、外部から攻撃を受ける可能性は低いと考えられます。とは言え、性能テストで「Actian Zen」の比較対象とした「InfluxDB」や「SQLite」などのオープンソースのデータベース製品は、セキュリティ面での信頼性が低く、動作保証すらありません。
そのようなデータベースを採用したヒストリアンが、果たして安全かつ安定的に稼働するだろうのか?という不安を拭い去ることは難しいでしょう。対して、Actian Zenの場合、商用データベース製品としての40年の歴史が製品の安定性を証明しており、安全面でもデータの保護に最適なセキュリティ機能を次のように搭載しています。
<Actian Zenのセキュリティ機能>
その1)データファイルの暗号化
→テキストエディタなどでデータファイルを参照した場合でも、文字型フィールドの元の内容を表示させることが不可になります。
その2)ネットワークの暗号化
→パケットキャプチャツールでネットワーク上のデータを参照した場合でも、文字型フィールドの元の内容を表示させることが不可になります。
その3)データファイルパスの隠蔽
→サーバー上に保存されたデータファイルの共有設定が不要になり、ファイルへのパス公開が不要(=ファイルパスを知らなくてもアクセス可能)になります。
その4)アクセス制限の有効化
→データベースもしくはテーブルにNoSQL/SQLインターフェイス経由でアクセスした際に、どのような操作を許可するのか設定できます。
データを暗号化することでパフォーマンスに影響を与える可能性はありますが、Actian Zenのように、OT環境の要件にあわせて暗号化の実施有無を選択できることは重要です。上記のような充実したセキュリティ機能は、いずれも簡単な操作で設定可能であり、上手く活用していくことでデータの保護を強化することができます。
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理由その4)Actian Zenは、無駄を省くことに最適である
OT環境において、センサーや計測器などのデバイスから取得されたデータを、一律ヒストリアンに転送し続けると、もちろんですが、膨大な量のデータが蓄積されていくことになります。
ところが、分析では全ての時系列データを使用する必要はなく、対象外となったデータがその後、利用されることはまずありません。ということは、ヒストリアンに蓄積されていくデータの中には、「無駄」となるものが日に日に増えていくことになります。対して、Actian Zenを採用したヒストリアンの場合、その「無駄」を事前に解消させることが可能です。
Actian Zenの製品ラインナップには、Raspberry Piのような ArmベースのCPUを搭載した小型IoTデバイス上で動作させることができる、「Actian Zen Edge」というエディションがあります。このEdgeエディションがインストールされたRaspberry Piは、クライアントとしても、またデータベースを備えたサーバーとしても利用可能です。
Actian Zen Edgeエディションを活用することで、Raspberry Pi内にデータを保存し、分析に必要なデータだけ、もしくは分析済みの結果データだけを(Actian Zenのサーバー向けエディションをインストールした)メインサーバーに転送するという処理を実現できます。
Raspberry Piなどが設置されたエッジ側で一次データ処理を行うことにより、いずれは利用されなくなってしまうデータをメインサーバー側に蓄積しなくても済むようになります。つまり、「無駄」なデータを省くことができるというわけです。
更にActian Zenの場合は、共通形式のデータファイルが全てのプラットフォームで使用されます。そのため、IoTデバイスとサーバー間では、データフォーマットの変換(CSV等への変換)が不要となり、データ連携時のオーバーヘッドが回避できるというメリットを享受できます。
【OT環境におけるプラットフォーム間のデータ連携フロー図(例)】
(*)データ連携時に中間ファイルとして出力されたCSVが暗号化されていない場合と比べて、Actian ZenはIoTデバイス上のプログラムから直接サーバー上のデータベースにアクセスできるため、中間ファイルそのものの出力が不要となり、セキュリティ面でも安心です。
IoTデバイス上のActian Zenがヒストリアンのさらなる進化を促す
なお、Actian Zenのようなデータベースが搭載されてない場合でも、平均値を計算したり、集計値を求めたりといったことをエッジ側で行うことは可能です。それに対して、Actian Zen Edgeエディションを利用すれば、計算を行うために余分なプログラムを作成する必要はなく、標準機能のみで対応できます。結果として、「無駄」な処理を省くことができると言えるでしょう。
また、たとえCPUやメモリを高速化または大容量化して処理能力を上げるとしても、その分コストが増大します。反対に、Actian Zen Edgeエディションは低価格で提供していますので、高価なCPUやメモリと比べてコストを抑えることができます。このことにより、「無駄」なコストを省くことが可能になります。(詳細な価格については、こちらの価格表ページをご覧ください。)
まとめ「データヒストリアンとActian Zen」
当記事は「データヒストリアン」をメインテーマとしましたが、「OT」や「時系列データ(ベース)」についても詳しく触れており、最終的には大変なボリュームとなりました。このような記事から、皆様の知りたい情報を少しでも手に入れられたのでしたら、大変嬉しく思います。それではここから、まとめに入っていきたいと思います。
1)「データヒストリアン」とは?
データを収集・蓄積し、可視化するためのデータベース(またはそのためのシステム)であり、IoT/エッジコンピューティングを活用した産業用制御システムの分野で利用されることが多いです。
2)「OT」とは?
工場/プラントなどの設備やシステム、生産ラインを制御するための技術であり、たとえば温度や圧力の制御、コンベアの制御などを行う際に用いられます。
3)「時系列データベース」とは?
経時的に(=発生した順に)集められたデータを最適な形で格納するために設計されたデータベースであり、タイムスタンプ型のフィールドをキー項目に設定することが特徴です。
4)「Actian Zenがデータヒストリアンに向く理由」とは?
下記4つのうち、いずれかの理由が当てはまるデータベースは他にもありますが、これら全ての機能/性能を兼ね備えているという点が、Actian Zenならではの「理由」と言えます。
- NoSQLとRDB両方の特徴を持つ
- レコードを挿入する性能が特に高い
- セキュリティ機能が充実している
- 無駄を省くことに最適である
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最後に・・・。
Society5.0のもと、スマートファクトリーやスマートプラントを構築しようと試みる工場/プラントが増えてきました。OT環境では、ビッグデータをより効率的に活用できるようになることが更に重要視されてきており、データヒストリアン市場は、今後より一層大きく成長していくことでしょう。
そのような将来性のあるデータヒストリアンに、Actian Zenが大きく貢献していければと思います。当製品の未来に、どうぞご期待ください!
– Actian Zenの「6つの特長」や利用シーンなど、製品を詳しく紹介しています。
▼ https://www.agtech.co.jp/actian/product/
– 資料(製品カタログやホワイトペーパーなど)を一括でダウンロードいただけます。
▼ https://www.agtech.co.jp/actian/docs-download/
後編とは言え、長くなりましたが、ここまでお読みくださりありがとうございます。最後にもうひとつだけお知らせがあります。現在、Actian Zenのオンライントレーニングを絶賛開催中です!(Cisco Webex を使用します。)
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また、「セキュリティ編」は、2022年7月に提供を開始した最新のコースとなります。当ページの3つ目の理由でも触れていますが、Actian Zenのセキュリティ機能について、より深く理解されたい方に大変お勧めです。
– トレーニング各コースの概要を確認いただけます。参加申し込みもこちらから。
▼ https://www.agtech.co.jp/actian/training/