はじめてのActian Zen「データヒストリアン」編・2/3(中編)
(前編からの続きです。)
データヒストリアン、OT、時系列データベースについて詳しく説明してきましたが、今回の中編では、データベースの「Actian Zen」が、データヒストリアンに向いている“4つの理由”に迫っていきたいと思います。まずは理由の1つである、「Actian Zen」がNoSQLとRDB両方の特徴をもつという点から見ていきましょう。
※ 当サイトを初めてご覧になった方は、会社紹介のブログ記事からお読みください。
*目次*
- データヒストリアンとは?
- OTについて(ヒストリアンとOTの関係性)
- 時系列データベースとしてのActian Zen
- なぜ、Actian Zenはヒストリアンに向いているのか?
- まとめ「データヒストリアンとActian Zen」
なぜ、Actian Zenはヒストリアンに向いているのか?
国内外で販売されているヒストリアン製品はいくつか存在しますが、データヒストリアンとは、あくまで概念のようなものであり、すでに市場にあるデータベース製品が、ヒストリアンに採用されるケースもよくあります。
前編でも説明したように、ヒストリアンは主にNoSQLまたはSQLの2つのタイプがあります。規模が小さめの工場/プラントでは、SQLタイプのヒストリアンが導入される傾向にあり、反対に規模が大きい場合は、ビッグデータを処理することに適したNoSQLタイプのヒストリアンが多く導入されていると言われています。
では、Actian Zenの場合、ヒストリアンとして利用することには向いているのでしょうか?その答えは「Yes」です。そう言い切ってしまえるのは、次の4つの理由を挙げることができるからです。
Actian Zenは・・・
1)NoSQLとRDB両方の特徴をもつ
2)レコードを挿入する性能が特に高い
3)セキュリティ機能が充実している
4)「無駄」を省くことに最適である
Actian Zenの長所とも言えるこれらの理由について、まずは1つ目から詳しく説明していきます。
理由その1)Actian Zenは、NoSQLとRDB両方の特徴をもつ
同シリーズのブログ記事、”はじめてのActian Zen「NoSQL?それともRDB?」編”では、Actian Zenがどのようなデータベースであるのかを、次のように結論づけています。
Actian Zenは「キーとバリューをもつスキーマレスのNoSQLデータベースであり、トランザクション機能やANSI SQLインターフェイスといったRDBの特徴を兼ね備えた、まさにマルチモデルのデータベース」と言えます。
NoSQLインターフェイスだけでなく、SQLインターフェイスをも併せもつ、デュアルインターフェイス仕様(※1)がActian Zenの利点です。開発者が実行したいタスクに応じて、NoSQLとSQL、どちらのインターフェイスからでも、全データにアクセスすることを可能にしてくれます。
(※1)SQLインターフェイスを使用する場合は、リレーショナルメタデータを定義しておくことが必要です。
NoSQLとRDB両方の特徴をもつことでデータ活用の幅が広がる
ヒストリアンは、工場/プラントの規模によって、NoSQLもしくはRDBのどちらかを選択していることは先ほど述べた通りです。Actian Zenをヒストリアンとして利用する場合、NoSQLとRDB両方の特徴をもつことによって、どのような規模であっても、その環境に対応させることが可能です。
また、ヒストリアンによって収集・蓄積されたデータは、業務などで活用されて初めて意味を成します。NoSQLタイプのヒストリアンは、ビッグデータを収集することには最適ですが、データ分析をあまり得意としない場合もあります。
それに対して、Actian Zenを採用したヒストリアンの場合、大量のデータを書き込む処理ではNoSQLアクセスを使用しつつ、複雑な条件をもとにデータを抽出する処理ではSQLアクセスを使用することで、データ分析にも柔軟に対応することができるようになります。
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理由その2)Actian Zenは、レコードを挿入する性能が特に高い
ヒストリアンとして利用される他社製品のNoSQLやRDBと性能面で比べた場合、どのような違いがあるのでしょうか?それを明らかにするべく、3つの製品で性能テストを実施してみました。Actian Zenと比較するデータベースとして、NoSQLからは時系列データベースの「InfluxDB」、RDBからはActian Zenと同様に小リソースデバイスに組み込める軽量データベースの「SQLite」を選んでいます。
なお、テストで使用した環境は下記の通りです。
<ハードウェア>
Raspberry Pi 4 Model B 8GB RAM(※2)
<OS>
Raspberry Pi OS(GNU/Linux 10 (Buster) 32-bit)
<ソフトウェア>
Actian Zen(バージョン15.00)
InfluxDB(バージョン 1.8.10)
SQLite(バージョン 3.27.2)
(※2)Raspberry Piは産業用に開発された製品が揃い始めており、IT/OT環境において、今後の活躍に大きな期待が寄せられています。
ヒストリアンにとって重要視するべき性能はレコードの挿入である
性能テストは、レコードの「読込」「挿入」「削除」の3パターンで行いました。それぞれの結果を順に説明していきます。(あくまで、弊社の技術者が実施した性能テストになります。そのため、提示された結果は絶対的なものではありませんが、性能を比較する際の参考データとしてお役立てください。)
【読込テストの結果】
3つのデータベースの読込性能は、基本的には同等であると想定していましたが、SQLiteの読込時間が最も短く、他のデータベースと比べて1/3程度の時間で読み込みが完了するという結果になりました。
その理由として、今回のテストではプログラミング言語にPythonを使用しており、Python上でSQLiteにアクセスする場合は、他のデータベースよりも効率的に読込の処理を行うことができるためだと考えられます。
【挿入テストの結果】
大量のデータをどれだけ速く収集していけるのか、それがヒストリアンにとって最も重要なポイントになりますが、その収集速度に関わってくる性能が、レコードの挿入(書き込み)です。結果のグラフを見れば一目瞭然ですが、Actian Zenが他のデータベースよりも群を抜いて挿入時間が短いという結果になりました。
その理由のひとつは、Actian ZenのNoSQLインターフェイスであるBtrieve APIを使用することで、高速なデータアクセスが可能となる、という点です。オーバーヘッドのないローレベルでのBtrieve APIアクセスは、SQLクエリやリレーショナルデータベースのメタデータを解釈することなく、アプリケーションから直接データを参照できるため、挿入時間を短くしてくれます。(Btrieve API の詳細については、こちらの製品ページをご覧ください。)
もうひとつ理由は、ストレージにHDDを使用している場合、TWA(Turbo Write Accelerator)という機能によって、複数の挿入処理を連続的に行なえるようになり、Actian Zenの高速化を後押ししてくれる、という点です。(Turbo Write Acceleratorの詳細については、こちらの資料 ”Actian Zen入門 (PDF) ” をご覧ください。)
【削除テストの結果】
Actian ZenとSQLiteの削除時間はほぼ同じですが、InfluxDBで削除を実行する場合は、他のデータベースと比べて30%ほど余計に時間を要するという結果になりました。
その理由として、Actian ZenやSQLiteは、データをディスク上に残したまま、削除済みのフラグを立てるという論理削除を行うだけに対して、InfluxDBは物理削除で更に多くのクリーンアップ作業を行っているためだと考えられます。
【テスト結果のまとめ】
以上、3パターンの性能テストから分かったことは、ヒストリアンとして利用するデータベースにとって最も重要になる「挿入(書き込み)」の性能面では、Actian Zenが優位性を持っているという点でした。
→後編に続きます。
– Actian Zenの「6つの特長」や利用シーンなど、製品を詳しく紹介しています。
▼ https://www.agtech.co.jp/actian/product/
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中編とは言え、長くなりましたが、ここまでお読みくださりありがとうございます。最後にもうひとつだけお知らせがあります。現在、Actian Zenのオンライントレーニングを絶賛開催中です!(Cisco Webex を使用します。)
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