はじめてのActian Zen「データヒストリアン」編・1/3(前編)
「はじめてのActian Zen」シリーズ・第4回目では、膨大な量のデータを取り扱うOT環境で広く利用されている、データヒストリアンについて詳しく説明します。(OTや時系列データなどの関連情報も含みます。)そのうえで、RDBの特徴を兼ね備えたNoSQLデータベースの「Actian Zen」が、データヒストリアンに向いている4つの理由に迫っていきたいと思います。
※「はじめてのActian Zen」とは・・・。
株式会社エージーテックのWebマーケティング担当者が発信する、データベース製品「Actian Zen」の詳細や、関連知識の習得などに役立つ情報が数多く掲載されたブログ記事シリーズです。
<はじめてのActian Zenシリーズの一覧>
1)「4つの”S”」編
2)「Pythonからのデータアクセス」編
3)「NoSQL?それともRDB?」編
4)「データヒストリアン」編(←当ページ)
※ 当サイトを初めてご覧になった方は、会社紹介のブログ記事からお読みください。
*目次*
- データヒストリアンとは?
- OTについて(ヒストリアンとOTの関係性)
- 時系列データベースとしてのActian Zen
- なぜ、Actian Zenはヒストリアンに向いているのか?
- まとめ「データヒストリアンとActian Zen」
データヒストリアンとは?
「データヒストリアン(Data Historian)」もしくは「ヒストリアン(Historian)」という言葉をご存知でしょうか?試しに「ヒストリアン」の意味を辞書で調べてみると、”歴史家や歴史学者、歴史について調査を行う人”といった説明が載っています。
では、データの「ヒストリアン」とは一体どういう意味なのでしょうか。IT用語として使用する場合、ヒストリアンの意味合いは「歴史」とほぼ同じになりますが、”とある物事の遍歴が時系列に記録されたもの、もしくは記録するための仕組み”という意味があります。
ヒストリアンはデータを収集・蓄積して可視化するためのデータベースである
上記の意味をより詳細に説明すると、ヒストリアンは、[1]工場/プラントに設置されたセンサーや計測器などから出力されたデータ(=生産プロセスのデータ)を収集・蓄積し、[2]そのデータを可視化してレポートするためのデータベース(またはそのためのシステム)、となります。大量のデータを効率よく保存することにヒストリアンは適しているため、IoT/エッジコンピューティングを活用した産業用制御システムの分野で利用されることが多くなっています。
ヒストリアンは、時系列に記録されたプロセスデータを取り扱い、データベースのモデルはKVS(キーバリューもしくはワイドカラム)であることが多いです。そのため、NoSQLにカテゴライズされている時系列データベースの特徴をもっていると言えそうです。(なお、一部のヒストリアンはNoSQLではなく、RDBのような特徴をもつこともあれば、NoSQLやRDBとは異なる種類のデータベースとして分類されることもあります。)
このように、ヒストリアンは主に工場/プラントにて発生した様々な情報で構成されたデータベースですが、その特徴からOTとの関わりがありそうです。そこで、ヒストリアンとOTにはどのような関係性があるのか?について説明していきますが、その前に質問です。皆様もときどき耳にすることがあるでしょう「OT」という言葉。そもそも具体的には何を意味すると思いますか?
OTについて(ヒストリアンとOTの関係性)
「OT」は、Operational Technologyを略したもので、直訳すると「運用または操作するための技術」という意味です。具体的には、工場/プラントの設備やシステム、生産ラインを制御するための技術を指します。センサーなどを使用して温度や圧力の制御を行ったり、仕分けなどを行うコンベアの制御を行ったりします。社会インフラ向けの巨大な機械設備なども、OTの対象になることがあるようです。
ヒストリアンとOTは密接な関係にある
ヒストリアンは30年ほど前から、主に医薬、石油やガス、化学や製紙といったプロセス製造の分野で発展してきました。OTの技術が活かされる分野もそれらと同様であり、昨今、DX化された工場/プラントを意味するスマートファクトリー(またはスマートプラント)を目指す製造業では、OT環境の様々な場面で、ヒストリアンに格納されるビッグデータを利用がすることが欠かせなくなっています。そのため、ヒストリアンとOTはとても密接な関係にあると言えるでしょう。
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時系列データベースとしてのActian Zen
ヒストリアンに格納されるデータの種類は、その特徴から時系列データであると定義できます。時系列データは、1つのテーマに沿って経時的に(=発生した順に)集められたデータのことであり、たとえば、製造工場に設置されたセンサーやIoTデバイスから継続的に出力されたデータが、長い時間をかけて集まっていったものです。
この時系列データを最適な形で格納するために設計されたのが、NoSQLのひとつ、時系列データベースです。弊社が販売するデータベース製品の「Actian Zen」もNoSQLであることは、同シリーズのブログ記事、”はじめてのActian Zen「NoSQL?それともRDB?」編”の中で紹介していますが、Actian Zenは、時系列データベースの特徴でもある、タイムスタンプ型のキー項目の設定が可能です。
タイムスタンプ型のキー項目を設定すれば「時系列データベース」として機能する
Actian Zenは、キー項目に様々なデータ型を設定することができますが、その中のひとつに「AUTOTIMESTAMP」という型があります。この型は、レコードがInsertもしくはUpdateされた年月日&時刻をナノ秒単位まで自動設定してくれます。さらに、年月日&時刻の値でレコードを高速に検索することも可能です。
また、1つのテーブルに対して複数のキー項目を設定することもできます。たとえば2つのキー項目を作成して、その両方ともをAUTOTIMESTAMP型に設定するとします。片方にはレコードが”作成”された年月日&時刻、もう片方にはレコードが”更新”された年月日&時刻の値をセットすることによって、時系列データをより詳細に管理できるようになります。
Actian Zenは、索引順次アクセス方式(ISAM)を採用したデータベースであり、このISAMがKVSの起源と言われているため、KVSタイプのNoSQLであると考えて良いでしょう。しかも、タイムスタンプ型のキー項目を設定できるので、時系列データベースとしても機能させることができるわけです。(融通の利くデータベースですね。)
→中編に続きます。
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